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「治療用アプリ」に診療報酬 — プログラム医療機器等指導管理料の基礎
令和6年度の診療報酬改定で、患者が自ら使う治療用アプリなどのプログラム医療機器を指導・管理したときに算定できる「プログラム医療機器等指導管理料」が新設されました。点数や算定回数、届出の要否など、医事課が押さえておきたい基本を整理します。
病院で「治療用アプリ」や「プログラム医療機器」という言葉を聞く機会が増えました。患者さんがスマートフォンなどで使うこうしたソフトウェアについて、令和6年度(2024年度)の診療報酬改定で新しい医学管理料が設けられています。「プログラム医療機器等指導管理料」です。医事課や企画部門にとっては、どの場面で算定できるのか、何を届け出る必要があるのかを押さえておきたいところです。この記事では、公表されている範囲でその基本を整理します。
何が新設されたのか
厚生労働省は令和6年3月5日付の通知(「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」保医発0305第4号ほか)で、令和6年度診療報酬改定の内容を示しました。そのなかで、医科の点数表に区分番号「B005-14 プログラム医療機器等指導管理料」が新たに加わっています。
公表資料で示されている要点は次のとおりです。
- 所定点数は90点で、月1回に限り算定します。
- 初回の指導管理を行った月には、導入期加算として50点を所定点数に加算します。
- 情報通信機器を用いて指導管理を行った場合は、所定点数に代えて78点を算定します。
算定の対象になるのは、「主に患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る)」に係る指導および医学管理を行った場合です。つまり、院内で医師や技師が使う画像診断支援ソフトのようなものではなく、患者さんが自宅などで使うことを前提としたソフトウェアが対象になります。代表的な例として、ニコチン依存症(禁煙)の治療補助や高血圧症の治療補助を目的としたアプリが挙げられます(この記事では特定の製品名は挙げません)。
「プログラム医療機器」とは
ここでいうプログラム医療機器は、用語集のプログラム医療機器(SaMD)で説明しているとおり、それ自体が医療機器として薬機法上の承認・認証を受けたソフトウェアを指します(薬機法上の承認もあわせてご覧ください)。今回の管理料の対象は、そのうち特定保険医療材料として保険適用され、患者さんが自ら使うものに限られます。承認を受けていない一般の健康管理アプリは対象になりません。
人工知能(AI)との関係でいえば、こうした治療補助アプリのなかには利用者ごとに助言を調整する仕組みを持つものもありますが、管理料の算定要件がAIの利用の有無で変わるわけではありません。あくまで「承認されたプログラム医療機器を、患者が使い、医療機関が指導・管理する」という枠組みで評価される点数です。
医事課・現場で確認したいこと
- 施設基準の届出。 この管理料は、厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関で算定します。指導管理を行うための十分な体制が求められます。対象とするアプリの種類によっては、関係学会の研修修了などの追加要件が定められている場合があるため、導入を検討するアプリごとに要件を確認します。
- 他の医学管理料との関係。 対象アプリは、ニコチン依存症管理料や生活習慣病管理料など、疾患ごとの既存の管理料とあわせて使われることが想定されています。併算定の可否や算定の考え方を、通知と疑義解釈で確認しておきます。
- 算定回数。 月1回という制限があります。導入期加算は初回の指導管理を行った月に限られます。
- 記録。 どのプログラム医療機器について、いつ、どのような指導・医学管理を行ったかを電子カルテ(診療録)に残す運用を決めておきます。
- 患者への説明。 使用上の注意点や使い方の指導が導入期加算の前提になっています。誰がどの場面で説明するか(医師、看護、事務の役割分担)を整理しておくと運用しやすくなります。
注意点
この記事は公表されている診療報酬上の枠組みの紹介であり、個々のアプリの効果や安全性を保証するものではありません。対象となるプログラム医療機器の範囲や施設基準の細目は、改定や通知で変わることがあります。実際の算定にあたっては、最新の告示・通知・疑義解釈と、加入する審査支払機関の取扱いを確認してください。
まとめ
- 令和6年度診療報酬改定で、医科の点数表に「B005-14 プログラム医療機器等指導管理料」(90点、月1回)が新設されました。初回月は導入期加算50点、情報通信機器を用いた場合は78点です。
- 対象は、主に患者自らが使用するプログラム医療機器等(特定保険医療材料に限る)に係る指導・医学管理で、禁煙や高血圧症の治療補助アプリなどが該当します。
- 算定には地方厚生局長等への施設基準の届出が必要で、アプリの種類ごとに追加要件が定められている場合があります。
- 併算定の可否、算定回数、電子カルテへの記載、患者説明の役割分担を院内ルールとして整理しておくと、導入後の運用が整理しやすくなります。
出典: 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定について」(「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」保医発0305第4号ほか、令和6年3月5日)
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