更新日:
医師事務作業補助体制加算に生成AI要件 — 令和8年度改定で医事課が確認したいこと
令和8年度診療報酬改定で、医師事務作業補助体制加算の人員配置基準に生成AI活用による柔軟化が盛り込まれました。何が変わり、医事課として何を確認すべきかを整理します。
2026年2月13日、中央社会保険医療協議会(中医協)は令和8年度(2026年度)診療報酬改定について厚生労働大臣に答申しました。この改定の柱の一つが、医師の事務負担軽減を目的とする「医師事務作業補助体制加算」の見直しです。生成AIを活用する医療機関では、配置人数の数え方が変わる仕組みが盛り込まれました。医事課として押さえておきたい内容を整理します。
何が変わったのか
医師事務作業補助体制加算は、医師の事務作業を補助する職員(医師事務作業補助者)を一定数配置している医療機関を評価する加算です。今回の見直しでは、生成AIによる医療文書の原案作成補助システムを導入した場合、補助者1人を1.2人として配置人数に算入できるようになります。さらに、音声入力システム・RPA・患者向け説明動画のいずれか1種類以上を組み合わせて活用すると、1.3人として算入できます(複数の専門メディアの解説記事による。えにしあ, 2026年2月24日、CBH, 2026年6月)。施行時期は2026年6月からと報じられています。
対象業務と必須要件
生成AIによる文書作成補助の対象として挙げられているのは、診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリ、診断書などの原案作成です。ここで重要なのは、AIが作るのはあくまで「原案・下書き」であり、内容の最終確認と承認は必ず医師が行うという前提です。人員配置の数え方が緩和されても、文書の責任の所在が変わるわけではありません。
必須要件としては、使用する生成AIが「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等に沿っていることが求められています。導入済みの文書作成支援ツールがこの要件を満たしているか、ベンダーに確認する必要があります。
医事課が確認しておきたいこと
まず、現在導入している(あるいは導入を検討している)文書作成支援システムが、加算の対象となる要件を満たしているかを確認することが出発点になります。ベンダーの提案書には性能や価格の説明が中心になりがちですが、今回のようなガイドライン準拠は加算の可否に直結するため、契約前に明確な回答を得ておく価値があります。
次に、1.2人・1.3人という換算は、あくまで人員配置基準上の算入方法であり、実際に配置している人数が減るわけではない点も整理しておくとよいでしょう。既存の医師事務作業補助者の業務範囲や研修体制を、AI活用を前提に見直す機会にもなります。
最後に、今回の情報は複数の専門メディアの解説記事をもとにしており、中医協の答申書そのもの(厚生労働省, 2026年2月13日付答申書)はPDFの構造上、本記事執筆時点で細部の数値を直接確認できませんでした。実際の算定にあたっては、地方厚生局からの正式な通知や告示を必ず確認してください。
まとめ
- 令和8年度診療報酬改定で、医師事務作業補助体制加算の人員配置基準に生成AI活用の要件が加わりました。
- 生成AIによる文書作成補助を導入すると補助者1人を1.2人、音声入力等を追加すると1.3人として算入できると報じられています(施行は2026年6月予定)。
- 対象は紹介状・退院時サマリ・診断書等の原案作成で、最終確認は必ず医師が行う前提です。
- 医事課としては、導入済みツールのガイドライン準拠を確認し、正式な告示・通知で最終的な要件を確かめることをおすすめします。
この記事が属する連載
補助金・診療報酬のお知らせ1 / 9