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仮名加工情報と匿名加工情報の違い — 院内データ活用の前に

令和2年改正個人情報保護法で導入された仮名加工情報は、匿名加工情報と定義も義務も異なります。院内でのデータ分析やAIの学習に使う前に、医事課・企画部門が押さえておきたい要点を整理します。

病院が持つ診療データを院内の分析や人工知能(AI)の学習に使いたいとき、そのままでは個人情報にあたります。そこで個人情報を加工して使う方法として、個人情報保護法には「仮名加工情報」と「匿名加工情報」の二つがあります。名前が似ているため混同されがちですが、法律上の定義も、事業者に課される義務も異なります。ここでは医事課や企画部門が最初に押さえておきたい違いを整理します。なお、一般的な考え方としての仮名化・匿名化は用語集を参照してください。

仮名加工情報とは

仮名加工情報は、令和2年改正個人情報保護法で新たに導入された概念で、法第41条と第42条で規律されています。個人情報保護委員会のガイドラインでは「他の情報と照合しない限り特定の個人を識別することができないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報」と定義されています。

作成した事業者が内部で利用する場合には、「元の個人情報に係る本人を識別する目的で他の情報と照合してはならない」という制限がかかります。つまり、他のデータと突き合わせて「この記録は誰のものか」を割り出す使い方は認められません。

適用されない義務と、できないこと

仮名加工情報である個人データについては、いくつかの義務が適用除外になります。個人情報保護委員会のガイドラインによれば、本人からの開示等の請求への対応(法第32条〜第39条)、漏えい等の報告・本人通知(法第26条)、利用目的の変更の制限(法第17条第2項)が適用されません。このため、当初の目的を超えた院内分析にも比較的柔軟に使えます。

一方で、第三者提供は法令に基づく場合を除いて認められません。これは、仮名加工情報を作成する前に本人の同意を得ていた場合であっても同じです。ただし、委託、事業承継、共同利用に伴う提供は、提供元と提供先を一体として扱う合理性があるため可能とされています。

匿名加工情報との違いと、実務での考え方

もう一方の匿名加工情報は、特定の個人を識別できず、かつ元の個人情報を復元できないように加工した情報で、第三者への提供に関する規律が別に設けられています。大まかにいえば、仮名加工情報は「組織の中で分析に使う」ことに向いた仕組み、匿名加工情報は「外部への提供・公表」も視野に入れた仕組みです。

したがって、院内に閉じたデータ分析やAIの試作であれば仮名加工情報が選択肢になり、外部の研究機関や企業とデータを共有するのであれば匿名加工情報や、次世代医療基盤法の枠組みを検討することになります。いずれの場合も、加工の基準や運用は院内の法務・個人情報保護の担当と確認したうえで進めてください。

まとめ

  • 仮名加工情報は令和2年改正で導入され、法第41条・第42条で規律されます。内部利用では本人を識別する目的での照合が禁止されます。
  • 仮名加工情報には開示等請求への対応、漏えい等の報告・本人通知、利用目的変更の制限が適用されず、院内分析に柔軟に使えます。
  • ただし第三者提供は原則不可で、作成前の本人同意があっても同様です。委託・事業承継・共同利用は例外です。
  • 外部提供を伴う場合は匿名加工情報や次世代医療基盤法の枠組みを検討し、運用は個人情報保護の担当と確認します。

出典: 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(仮名加工情報・匿名加工情報編)」 ・ 個人情報保護委員会 よくある質問「仮名加工情報を第三者に提供することはできますか」

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