更新日:
東京都「医療機関におけるAI技術活用促進事業」— 申請前に確認したい点
東京都が令和8年度も実施するAI技術導入の補助金です。対象経費や補助率、締切、既存システム連携やコンサル費の扱いなど、申請を検討する医事課・企画担当が事前に確認したい点を整理します。
病院がAIツールを導入するとき、初期費用が壁になることがあります。東京都は令和8年度も「医療機関におけるAI技術活用促進事業」として、AI技術の導入費用の一部を補助しています(東京都保健医療局)。第2回の募集締切は令和8年9月30日です。対象は東京都内の医療機関に限られますが、対象経費の考え方や申請時の注意点は、他地域で似た補助金を探すときの参考にもなります。ここでは制度の要点と、申請を検討する担当者が事前に確認したい点を整理します。
何に使える補助金か
事業の目的は「医療従事者の業務負担を軽減し、専門業務に注力可能な環境を整備するとともに、患者の待ち時間の短縮等、医療の質・患者サービスを向上させること」とされています(東京都保健医療局)。
対象経費の例として、東京都は次を挙げています。
- AI問診の導入費用
- 電子カルテへのAI音声自動入力の導入費用
- AI通訳機など多言語対応機器・システムの導入費用
- 関連する電子機器の導入費用
- 既存システムとの連携改修費用
- コンサルティング費用
補助の基準額は1,000万円(コンサルティングを実施する場合は2,000万円)、補助率は2分の1です。対象は東京都内の200床未満の病院または有床診療所の開設者で、国・地方公共団体・独立行政法人などや、過去にこの補助金の交付を受けた医療機関は対象外とされています(東京都保健医療局)。
申請前に確認したい点
1. 対象医療機関に該当するか。 200床未満という病床数の条件と、過去にこの補助金の交付を受けていないかをまず確認します。
2. 募集回と締切。 令和8年度は第1回が6月30日、第2回が9月30日です。年度をまたぐ事業はできず、交付決定の日から令和9年3月31日までに着手・完了することが原則とされています。
3. 交付決定前の着手は対象外。 補助金は原則として交付決定後に発注・契約したものが対象です。決定前に契約を済ませると補助対象外になり得るため、スケジュールを逆算します。
4. 「AI技術」かどうかの線引き。 補助対象は知事が適当と認めるAI技術です。検討中のツールが実際にAIを使っているのか、単なる自動化・定型処理ではないかを、製品仕様書などで確認しておきます。生成AIを使う場合は、入力するデータの扱いも別に整理が必要です。
5. 既存システムとの連携改修費用。 電子カルテや予約システムとの接続にかかる改修費も対象経費に含まれます。ベンダーから連携費用の見積もりを早めに取り、本体費用と分けて把握しておきます。
6. コンサルティング費用の扱い。 コンサルティングを実施すると基準額が2,000万円に上がりますが、その分求められる成果物や報告の要件も増えると考えられます。何を依頼するのかを具体的に決めておきます。
7. 電子申請の準備。 申請はデジタル庁の「jグランツ」で行い、gBizIDプライムのアカウントが必要です。取得には日数がかかるため、締切から逆算して早めに手続きします。
AI音声入力を検討している場合
対象経費に挙がっている「電子カルテへのAI音声自動入力」は、令和8年度診療報酬改定で医師事務作業補助体制加算の人員配置基準にも関わってきた分野です。補助金で導入費用を抑えつつ、加算の要件も併せて確認すると、費用と運用の両面から検討しやすくなります。ただし補助金と診療報酬は別の制度で条件も異なるため、それぞれの担当部署で個別に確認してください。
まとめ
- 東京都は令和8年度も「医療機関におけるAI技術活用促進事業」を実施し、第2回の締切は令和8年9月30日です。
- 対象は東京都内の200床未満の病院・有床診療所で、AI問診・AI音声入力・多言語対応機器・連携改修・コンサル費などが対象、基準額1,000万円(コンサル実施時2,000万円)、補助率2分の1です。
- 交付決定前の着手は対象外、年度内に完了、jグランツでの電子申請にgBizIDプライムが必要という点は特に注意します。
- 東京都以外の病院でも、対象経費の考え方は他の補助金を探すときの参考になります。
出典: 令和8年度 医療機関におけるAI技術活用促進事業, 東京都保健医療局 · Jグランツ 補助金詳細ページ, デジタル庁
この記事が属する連載
補助金・診療報酬のお知らせ2 / 9