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「学習し続けるAI医療機器」を導入する前に — 変更計画(IDATEN)と審査体制の確認点

AI医療機器の中には、市販後の学習で性能が変わる設計のものがあります。導入を検討する病院が確認しておきたい薬機法上の仕組みと、PMDAの最新の審査体制を整理します。

医療機器のソフトウェア(SaMD)の中には、発売した後も学習を続けて性能が変わっていくタイプのAIがあります。こうした製品を導入する際、通常の医療機器と同じ感覚で「一度承認を受けたら仕様は固定」と考えていると、契約や保守の場面で認識のずれが生じかねません。病院が確認しておきたい仕組みを整理します。

SaMDと薬機法上の分類

プログラム医療機器(SaMD)は、ソフトウェア単体で診断や治療などの医療目的を果たす製品を指します。PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、リスクに応じて一般医療機器(クラスI・届出)、管理医療機器(クラスII・第三者認証)、高度管理医療機器(クラスIII・IV・厚生労働大臣承認)の3段階に分けて扱っています。AIを用いた医療機器もこの枠組みの中で審査を受けます(用語集「プログラム医療機器(SaMD)」「薬機法に基づく承認・認証・届出」参照)。

「発売後に変わる」ことを前提にした制度がある

通常、医療機器は承認を受けた仕様のまま販売されます。しかしAIは市販後も学習を重ねて性能が変化する場合があります。この性質に対応するため、厚生労働省は2020年8月31日付の通知で「変更計画の確認(IDATEN)」という仕組みを設けました。あらかじめ想定される変更の内容と評価方法を計画として提出し、確認を受けておく制度です。2023年12月には、AI関連技術を使った医療機器を念頭に置いたQ&Aや記載事例も追加で示されています(用語集「変更計画の確認(IDATEN)」参照)。

つまり、対象のAI医療機器が「学習し続ける設計」なのか「仕様固定の設計」なのかは製品によって異なり、前者であればIDATENに基づく変更計画の有無を確認する意味があるということです。

PMDAの審査体制も変わっている

PMDAは2024年7月1日、プログラム医療機器を専門に扱う部署を「審査室」から「審査部」に改編し、領域ごとの2チーム体制で相談・審査にあたるようになりました。該当性・薬事開発・医療保険の3種類の相談を一つの窓口でまとめて受け付ける体制も整っています。あわせて「AIを活用したプログラム医療機器に関する専門部会」では、市販後学習によって性能が変わる医療機器について、学習データの偏り(バイアス)の評価方法や、評価に使ったデータの再利用の扱いなどが議論されています。対象は主に医用画像や心電図などの生体計測情報の解析分野です。

病院として確認しておきたいこと

  • 検討している製品が、発売後も学習を続ける設計かどうか
  • 学習を続ける設計であれば、IDATENに基づく変更計画が確認されているか
  • 性能が変わった場合、病院側にどのように通知され、再評価や再教育が必要になるのか

これらは提案書だけでは分からないことが多く、ベンダーへの確認事項としてリストに加えておく価値があります。

まとめ

  • AI医療機器(SaMD)は薬機法上、リスクに応じて届出・認証・承認の3段階で扱われます。
  • 市販後も学習を続けるAI医療機器については、厚労省の「変更計画の確認(IDATEN)」という仕組みがあります。
  • PMDAは2024年7月にプログラム医療機器の審査体制を拡充し、専門部会でAIの市販後学習に関する評価方法を継続的に検討しています。
  • 導入検討時は、対象製品が学習を続ける設計かどうか、変更計画の有無をベンダーに確認することをおすすめします。

出典:PMDA「プログラム医療機器」・PMDA「AIを活用したプログラム医療機器に関する専門部会」

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